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――― もしかして今、鈍いっていわれたのか?   僕は少し首をひねった。 「自我が脆い人間ほど自己愛型の人間に見抜かれて取り込まれやすい。そういう人間は、利用されていることを『認められている』と勘違いする」 「はあ、そういうもんですか」 ――― でも宙君のいうことが本当かどうかは、それこそあの人たちに聞かないと分からない。  そう思ったけど口には出せなかった。  そのとき目の前の大通りを走る車の騒音が急に聞こえてきた。カフェの入口のドアが開いたのだ。振り返ると驚いたことに、先ほどお店を出て行った山咲さんの後輩の黄色いワンピースを着た女性が入ってきた。
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