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「魔女はホウキに乗って空を飛んだりはしないが、魔法は使う。ただそれはヒーリングだったり、ハーブを使った薬草作りや占いみたいなもので、世間が思うような呪いを掛けたりはしないはずだ。ただ、黒魔術が存在するのも確かだ」 「怖い。どうして私がそんな人たちに狙われるのか分かりません」  白石さんの顔からさっと血の気が失せたので、卒倒してしまうのではないかと僕は心配になり、声をかけようとしたとき 「うーん。面白い」と間宮がいった。  驚愕のセリフに僕は思わず間宮の顔を横から覗き込んだ。  目の前で怯えている白石さんを気にする様子もなく間宮はまるで新しいオモチャを与えらえた子供のように目を輝かせて白石さんのスマホ画面に映っているウィッカのシンボルをじっくり見ているではないか。 「宙君」  僕がそっと間宮を小突くと間宮は慌てて神妙な顔をして「お察しします」といった。 ――― 遅いわっ!  僕は心の中で突っ込んだ。おじいちゃんとおばあちゃんは、一体どうやってこの男を育てたのか、不思議で仕方がない。  だが白石さんは間宮の態度を気にする様子もなく続けた。 「間宮さん、ちょうど今週末からビル全体のオープンデイがあって、そのときは部外者が自由に出入りしてビル内を勝手に見て回れます。そのときに来ていただけませんか? 間宮さんなら私たちでは気付かないことに気づくかもしれませんし。私、怖いんです。お願いします」 白石さんは頭を下げた。
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