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「でもその彼って、そもそもイケメンだし、実は彼女がいるんじゃない?」  と、ようやくここで僕も考えていたことを白衣の男性が聞いてくれたので少しスッキリしたが、いない、いないと、このときばかりは三人が口を揃えて否定した。彼に恋人がいないというのはどうやら本当らしい。 「ゲイでもないし」  山咲さんが付け加えると、ほかの二人の女性も頷いた。 「じゃあ、奥手なのかな。彼女はいなくても好きな人がいるとか?」 「山咲さんのことが好きなんじゃないですか~?」  青いブラウスの女性が本気なのか、機嫌を取っているのかわからないが、そういった。 「ええー。それは分からないよぉ」  口では否定しながらも、山咲さんは嬉しそうに青いブラウスの女性を見た。どうやら自信はあるようだ。山咲さんは色白で割と綺麗な方だと思う。けど目つきが意地悪そうで怖いというのが僕の印象だった。また青いブラウスの女性が続けた。 「多分、藤井さんは自信がなくて誘えないんだと思いますよ。  山咲さんの方が立場が上だし、これまで弁護士とかしか付き合ったことないっていつもいってるし」 「嫌だぁ。もう~、挑んでこいっつーの。  ホント気がちっちぇえ」  山咲さんがまたガハハハハと大声で下品に笑った。 「まあ、社内恋愛は失敗すると気まずくなるし、女性が年上だと年下男性はどう誘っていいか分からないってのはあると思うよ」  白衣の男性がフォローした。 「今どきの男ってホント小っちゃいのよねえ。ガハハハハハ」  山咲さんの笑い声がまた反響した。
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