共同作業

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「ヤエさん、次はこれをお願いします」 「あいよ」  僕は次に必要なオレンジの折り紙を鈴木さんに渡した。  鈴木さんは一言返事をしただけで、後は黙々と折り紙をちぎり始めた。 「あら、素敵な絵ね。私にもやらせて」  近くで見ていたおばあさんが来て、鈴木さんの隣で折り紙をちぎり始めた。 「じゃぁ、イチョウに貼る黄色の折り紙をお願いします」  僕はその女性に黄色の折り紙を渡した。  お二人は認知症でここの施設に入っている方々だろう。  でもこう見てみると、認知症という症状は全くもって見て取れない。  どこにでもいる普通のおばあちゃんだ。  僕の中で、認知症という病気の印象が180度変わった瞬間だった。
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