10人が本棚に入れています
本棚に追加
「ヤエさん、次はこれをお願いします」
「あいよ」
僕は次に必要なオレンジの折り紙を鈴木さんに渡した。
鈴木さんは一言返事をしただけで、後は黙々と折り紙をちぎり始めた。
「あら、素敵な絵ね。私にもやらせて」
近くで見ていたおばあさんが来て、鈴木さんの隣で折り紙をちぎり始めた。
「じゃぁ、イチョウに貼る黄色の折り紙をお願いします」
僕はその女性に黄色の折り紙を渡した。
お二人は認知症でここの施設に入っている方々だろう。
でもこう見てみると、認知症という症状は全くもって見て取れない。
どこにでもいる普通のおばあちゃんだ。
僕の中で、認知症という病気の印象が180度変わった瞬間だった。
最初のコメントを投稿しよう!