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夕方、A病棟の大きな控室に戻った僕らは、それぞれの実習のことを話した。
医者を目指している古澤は毎日アクティブに動き回り、少しだけ入所者の病名や症状についても教えてもらっていた。
佐藤は通って来られる利用者の検温や血圧測定をさせてもらい、少しだけ看護師の業務を体験できたことに感動していた。
僕は一緒に貼り絵や塗り絵、食事の準備・片づけ、歯磨きやお風呂の手伝いを体験し、一緒に暮らす、生活するということの大変さと喜びを噛みしめていた。
3人が3人とも、それぞれにいい顔をしていた。
実習を終え、施設を後にするとき、また3人で遊びに来てもいいかを尋ねると、施設長は快く再来を受け入れてくださった。
3人で施設の坂道を下りながら、僕は内申点のことではなく、自分の将来に新しい目標を見つけた気がしていた。
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