夢のまた夢

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 あまりの衝撃に、僕は息を呑んだまま、しばらく口がきけなかった。  あの鈴木さんが…亡くなった?  ついこの間まで元気で、僕と一緒に貼り絵をしていた鈴木さんが?  再会を約束して、僕の手を握ってくれた鈴木さんが…  その現実を受け入れられないまま、僕は無意識に手で口を被い、しばらく呼吸ができなかった。  そんな…  今日まで鈴木さんにいい報告をするために、必死に頑張ってきたのに…  鈴木さんに喜んでほしくて、一から勉強をやり直したのに…  鈴木さんはもういないなんて…そんなバカな!  僕は身体の中心にズキリとした鋭い痛みを感じながら、嗚咽した。  あまりにも呆気なくて、あまりにも突然すぎる死。  僕は全身の力が脱力するのを、生まれて初めて感じた。
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