介護実習

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 昼のミーティングで自己紹介をして、僕は世話役である男性スタッフとともに食堂の清掃に向かった。  世話役の男性は、20代前半の介護士で児玉健吾といった。   児玉さんはとてもフランクな方で、緊張している僕に何気に話しかけてくれた。  昼食後の食堂は食べこぼしやお茶が至るところにこぼれており、それをティッシュで拭き取り、最後は除菌クロスで吹き上げた。  その後、今日は施設の方と一緒に風船バレーをするというので、僕もそこに参加した。  すでに数名の高齢者が集っており、それぞれが簡単な自己紹介をしていた。  日付確認とひと通りの説明が終わると、スタッフの方が風船を中央に上げた。  周りの高齢者の方が一斉に手を上げて、我先に風船に触ろうとしていた。  ある男性高齢者の手に当たった風船はふわりと前方へ移動し、そこにいた小さなおばあさんの目の前に行った。  小さなおばあさんは驚きながら両手を上げて、風船を返した。    皆、風船に集中しており、動きが機敏だった。  高齢でもこんなに俊敏な動きができるのか。  僕にとっては、新たな発見だった。  僕も傍らで参加していた矢先、その方は僕の後方からやって来た。 「寅雄さん…とらおさーん!」
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