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次の日は、朝からそれぞれの病棟へ向かい、各業務に就いた。
まずは朝食後の片づけ。
それから歯を磨き、オムツを交換したり、トイレへ連れていく。
僕は児玉さんについて、それらの手伝いをした。
人の排泄物の匂いは…強烈だった。
その後は基本的に自由。
食堂には大きなテレビがあり、夏の高校野球が映し出されていた。
テレビからの歓声とは裏腹に、車椅子に座った老人たちは各々うつむいていたり、窓の外を眺めたり、テレビを見ているのは数人だった。
それもテレビを見ているのか分からない。
ただ眺めてるだけ…。
僕にはそう見えた。
そこには、昨日僕を追って来た、あの鈴木さんもいた。
僕は勇気を出して、鈴木さんの隣に腰かけた。
「おはようございます。鈴木さん」
そう言って声を掛けると、鈴木さんはのそりとこちらを向いた。
次の瞬間、彼女の表情が一変した。
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