10階

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「今年も同じクラスだね!」  周囲が騒がしい。しかも聞こえるのは、甲高い子供の声ばかり。 「あー…でも莉乃とは分かれたね」 「りの?」 「悠理ちゃん花梨ちゃん、何組だった?私2組」  どこかで聞いた名前だと考えていると、誰かに名前を呼ばれた。 「あたし達は1組」 「ショックー!私だけ離れたー」 「遊びに来ればいいじゃん」 「そうだけどさー。5年は林間あるじゃん?一緒の班になりたかったー」  そういえば、小学校の時こんな会話をしたような。仲良し3人の中で、1人だけ違うクラスになった。最初は心配してたけど、その子もすぐに友達が出来て、中学に上がる頃には遊ばなくなった。  不意に視界がクリアになる。周りがよく見えた。  長い廊下にランドセルを背負っだ子供達がひしめき合っている。同じように並んだ古びた窓と扉。その扉の前に貼られた紙は…クラス名簿? これは、5年の新学期だ! 「ゆーり?」 「悠理ちゃん?」  私を見る2人の少女。途端に記憶が溢れ出す。  学校ではいつも一緒で、休日もよく遊んだ。疲れただけの遠足、盛り上がった運動会。緊張した学習発表会。その全てに2人がいた。 「花梨ちゃん…莉乃ちゃん…」  チーン  一歩踏み出すと、そこは住み慣れたマンションのエントランスに変わっていた。慌てて振り返り、閉まりかけのエレベーターに駆け込んだ。  さっきまでいたエレベーターガールも、ずらりと並んだ階数ボタンも、無くなっていた。
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