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「椎名くん、わたし、椎名くんの事を好きになってた。
死ぬかもしれないわたしが伝えたらいけない事だけど、椎名くんと人生を歩んでいきたかった。
椎名くん、今まで、ありがとう。」
わたしが、両手をガラスに、つけた。
椎名くんがガラス越しに、わたしの両手に、両手を重ねた。
「杉瀬さん、体内からカルロスウイルスが無くなって、隔離室から出てこれたら、僕と、結婚して下さい。
だから、絶対に死なないで、カルロスウイルスに打ち勝って下さい」
始業時間の前に、わたしに会いにきてくれた椎名くん。
始業前のチャイムがなると、研究センターに向かった。
わたしは、ベッドに横たわり、自分で左手に、希望をかけた創薬の点滴の針を刺した……。
生きたい、生きて、
椎名くんと共に人生を歩みたい。
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