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「だいぶ、楽になった。毎日、来てくれて、ありがとうね。仁君」
芽生さんは、読んでいた小説を閉じて、僕をみて、微笑んだ。
そんな、芽生さんの唇に、キスを落とす。
カルロスウイルスは体内から無くなった。
でも、恐ろしいウイルスなのもあり、芽生さんは、院内で差別的な肩身の狭い生活を虐げられていた。
「芽生さん、オペ的な治療は終わり、後は免疫力を高める薬剤を点滴で投与するだけですよね?
点滴なら芽生さんは一人でできますし、退院して、僕と暮らしませんか?」
ずっと隔離部屋で一人で、誰とも触れる事もなく生活をしていた芽生さん。
大学病院には、仕事帰りにしか顔を出せず、芽生さんが1人で寂しい思いをしてると思うと、心配だった。
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