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こうして富は取敢えず寝床を得たのだが、そこは貧しい村の事、直ぐに女衒が遣って来て富を品定めすると値を付けて買っていった。子が生まれれば間引きされるのが常の貧しい村の事である。大きな子ともなると口減らしの為には売るしかない。お飯に不自由せず、暖かい寝床で綺麗な着物を着て、甲斐性のある男に身請されれば江戸で幸せに暮らせる。田舎者の貧しい百姓にとってはそんな親切心もあったのかもしれない。中には女衒にさえ買ってもらえぬ娘も居るのだ、富は果報者であったに違いない。
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