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第二章 見つけたモノ
毎日バス通学をしているジュンは、今日もバス停で家の近くに向かうバスを待つ、バス停には同じ高校に通う学生も多く、中には小学生の姿もある。
そして、ジュンは来たバスに乗ろうと、バスに一歩足を踏み入れた時、ふと道端に目を向ける、そこには初老の男性が座り込みながら、シートを広げて色々な物を売っていた。
売っている物は殆どがガラクタ、形が歪な彫刻、妙な柄が塗られている食器など、道を歩く人は、その男性に目を向けずに通り過ぎている、さすがに不気味だと感じてしまうからだ。
路地裏で井戸端会議をしている奥様方は、その老人を奇異の目で見ながら、コソコソと話している様子だったが、男性は全く気にしていない様子だった。
だがジュンは、その不思議な商品達の中に、自分の気を引いてしまう商品名の品を見つける、その商品名とは、「金を掴む手」という名の、金色のマニキュア。
ジュンはすぐにバスから降り、その露天の前まで足を進めると、老人は顔を上げてジュンの顔を見た、その顔はまるで古びた人形の様な、無愛想で無表情だ。
だがジュンはそんな事気にしていない、そのマニキュアの値札に目を向けると、彼女は驚いてまった、その金色のマニキュアは、都内の化粧品売り場に売られているマニキュアよりもずっと安価だった。
最近の物価がかなり高いのは、ジュンでも頭を悩ませている、化粧品でも物価高騰の流れが起きているので、ジュンのお財布事情に拍車をかけている事柄でもある。
普通、専門的なお店で売られていない、得体の知れない商品なんて抵抗があって買えないのだが、そのネーミングと安価に心惹かれたジュンは、「これ買います!」と言って、そのマニキュアを手に取った。
そしてカバンから財布を取り出し、お金を老人に渡す、老人は何も言わずにお金を受け取った、さすがに袋は無いらしく、ジュンはそのマニキュアをカバンの中に入れる。
念の為ジュンがそのマニキュアを手探りで調べる、プラスチックの包みは付いていないが、封はちゃんとしてある、これなら家に持って帰るまで溢れてしまう心配は無い、ジュンは丁度来たバスに急いで乗って、ワクワクしながら家に帰った。
だがその時、ジュンはそのマニキュアに夢中で気づいていなかった、その老人の顔が不気味ににやけていた事に、そしてその口元から、真っ白な歯がギラリと光っていたのだ。
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