第三章 効果

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第三章 効果

「・・・・・・・???」 突然の事だった、マニキュアを塗ったその夜は、疲れたのか睡魔に襲われたジュンは、そのままベッドに身を預けて熟睡していた、そして目が覚めた翌朝。 ジュンは目を覚ますと、手に違和感を感じた、寝ぼける両目を擦りながら右手を見ると、自分が紙製の何かを握りしめている事に気付いた。 ジュンは昨日、寝る前に紙なんて持って寝ていないはずだったが、寝ぼけていた可能性もあると思い、ジュンは恐る恐る手を開くと、そこには千円札が3枚折り畳まれていたのだ。 混乱と驚きにどうしていいのか分からなかったジュンは、ひとまず落ち着く事にした、途中でジュンの母が彼女を起こそうと部屋に入って来たが、千円札3枚は枕の中にそっと入れたので気づかれる事はなかった。 だがさすがにずっとベッドの上で座っているわけにもいかない、学校があるのだから、しかしジュンは、どうしてもその千円札3枚の事が気になり、ふと気付いた。 もしかしたら自分が、寝ぼけて財布の中から取り出しただけではないかと、ジュンは机の上に置いてあった財布の中身を確認したが、昨日と全く変化無し。 朝ごはんを食べている間、ジュンの父と母は、お金の事なんて何も言わなかった、ますますその千円札3枚の事が気になったジュンだったが、顔を洗っている最中、自分の爪を見て思い出した。 昨日ジュンが自分の爪に塗ったマニキュアの名前、「金を掴む手」、半信半疑だったそのマニキュアの名前に、ジュンは確証を得て、ようやく喜ぶ事ができる。 だがこのマニキュアの事は、誰にも言えないと、確証と同時に覚悟を決めた、それは単なる独占欲でもあるのだが、もしマニキュアの事を話してしまえば、このマニキュアを没収されてしまう可能性があったからだ。 3千円あれば、前までは手に入らなかった化粧品や、部屋のインテリアになるぬいぐるみや、全身鏡だって買える、そう思ったジュンは、学校に向かう最中にも、学校で授業を受けている最中にも、その3千円で何を買おうか悩んでいた。 だが、またその翌日の事、ジュンがいつも通りに目を覚ますと、やはり手には紙幣が数枚握られていた、しかも今回は千円札だけではなく、5千円も混じっていたのだ。 ジュンは今まで5千円札なんて、親戚のお年玉でしか貰った事が無かったので、朝から興奮してベッドの上を転げ回っていた、そんな日々が続き、ジュンは自分の欲をただひたすら満たす日々を送る。 しかしその頃から、ジュンの知らない間に、彼女の周りで異変が起き始めていた。
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