第四章 崩れる日常

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第四章 崩れる日常

ジュンは毎日の様にショッピングを楽しみ、時には友人と一緒に食べ歩きなども楽しんでいた、ジュンの部屋には一気に物が増え、友達も増えた。 今までお金が無い事を理由に、人付き合いを自粛していたジュンだったが、今の彼女は友達に食べ物や飲み物を奢ってもお釣りが帰ってくるほどお金を持っている。 おかげでジュンはすっかりクラスの人気者になり、最近は学校にあるジュンの下駄箱にラブレターが入っているほど、学校中の人気の的になったジュン。 今までよりも高い化粧を身に纏い、オシャレも楽しみ、街中を歩くとナンパをされてしまう事もあるほど、ジュンは変わってしまった、そんな彼女に注目するのは、良い生徒だけとは限らなかった。 放課後、学校の裏に呼び出されたジュン、そして彼女を取り囲むのは、かなり派手な格好をした女子数名、鼻が曲がるほど強烈な香水の匂いと、厚塗りすぎて原型を留めない化粧をしている。 単なる数の暴力だった、そして女子生徒達の目的は、ジュンの持つお金だった、少し暴力を振るえば、怖気付いたジュンからお金がもらえると思ったのだ。 その女子数名は学校内だけではなく、地域全体で有名な不良グループ、コンビニなどで万引きをしたり、道端で大声でゲラゲラとおしゃべりをして、住民から学校に苦情が寄せられる事もあった。 先生や教頭は彼女達に何度も注意はしているのだが、全く反省の色は見られず、彼女達のせいで不登校になってしまった生徒もいるらしい。 そんな彼女達を目の前にしても、ジュンは全く動じる気配を見せなかった、彼女達にお金を渡せばすぐに帰ってくれると思ったからだ、お金を渡しても、翌日には自分の手元にまたお金が編み込んで来る。 そう考えれば、今彼女達に渡すお金なんて単なるはした金、もうジュンは、以前のお金を大切にする心を完全に失っていた、むしろ散財する喜びが心を埋め尽くし、彼女自身の性格すらも変えてしまっていた。 ジュンは彼女達に対して、「いくら?」と上から目線で聞いた、その態度と言葉を聞いた女子生徒達は逆上してしまう、なぜなら彼女達の目的はお金ではなく、毎日お金をちらつかせるジュンを妬んでたいのだから。 そして怒りが抑えられなくなった女子生徒の一人が、ジュンに向かって手を挙げる、その行動にはさすがに危機感を感じたジュンは、とっさに防御体制に入ろうとした。 だがその瞬間だった、突然ジュンの意識が遠のき、女子生徒の平手がジュンの頬に触れるか触れないかの間際、ジュンの意識は完全に途切れてしまう。 しかし意識が途切れる寸前、ジュンが見た光景は、頬が赤く腫れ上がり、涙目になりながらこちらを見ている、ジュンに手を出した女子生徒の姿だった。
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