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呼び出されました。
昼休み。何人かの生徒が呼び出された。
その指名された生徒達の名前に大体の生徒があぁ、やっぱり。と呟く。
そして同時に椅子の音を響かせ、何か不吉なことが起きたかのような暗い面持ちで立ち上がる生徒数人。
2-Sと示された教室にも立ち上がる生徒が1人居た。ただ、その生徒は何やらなんとも言えないような顔をしていたのだが。
さて、呼び出された数人の生徒達が向かうのは同じ場所。
この学園の中心人物が集う場所。生徒会室であった。
本来ならば一般生徒はそこに続く廊下のカーペットすら踏むことを許されないとされるその場所。
まぁ、その生徒達は一般生徒と呼ぶには些か問題があるように感じるのだけれど。
呼び出されたのは中心人物、つまり生徒会役員6名―役職は5つなのだが―の、親衛隊の隊長にあたる5名の生徒達であった。
本来ならば生徒会に呼び出されたとなれば髪の毛が抜ける勢いで喜ぶものであるが、今回はその様子が微塵もない。むしろ髪の毛が抜けるほど落ち込んでいる。
それは、これから自分たちに起こることを凡そ分かるからだろう。
とぼとぼと歩いたその先にある実に重厚感あるれるその扉。
まさか自分たちの手で開けることがあろうとは。――こんな最悪の形で開けることになってしまったけど。
「…じゃ、じゃあ、開けるからね。」
1番先頭を歩いていた生徒、生徒会長親衛隊隊長 綾瀬が、後ろに声をかける。その声は天使と称される容姿に合った、高校生とは思えないほどの可憐な声であった。
――まじどこから出してんのその声。
と、1人の生徒は綾瀬の喉元をガン見して思う。
その喉をゴクリと鳴らし綾瀬は握りしめた手の甲でそこを軽く叩く。
「入れ。」
中からは部屋の中にいるためこもった、しかし凛として聞き惚れてしまうような声が聞こえる。
「し、失礼します」
ガチャリ、と開いた扉から綾瀬を初めとしぞろぞろと続いて入室していく。
一番後ろを歩いていた少年は、あれ、ここって防音仕様じゃなかったっけ?と、なかなかにどうでもいいことを考えながら後ろ手に扉を閉めた。
「…呼ばれた理由はわかるな。」
「……」
「全生徒会親衛隊は、今日この時をもって解散とする。」
「っ!そっ、まってください!!」
何を言われるか、分かっていてもやはりショックなものはショックなのだろう。
「そ、そうです!何故我々が解散なんて!」
と、副会長のとこの葉山隊長。
「あの、まりm…猿川君も何かしら罰を受けるべきですよね!?」
と、会計のとこの有山隊長。
「僕達だけなんて、そんなことありえないですよね!?」
と、書記のとこの結崎隊長。
全員言いたいことが溜まっていたのだろう、わーわーと言い始めたその時。
「…うるせぇ」
猛獣が低く唸ったような低い声が不思議と響いた。
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