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その日、ユウヤは夜遅くなると言っていた。予定通りに事が進まなくて、でも出かけなくてはいけないことに苛立っているようだった。 私が必ず食べて欲しいと言って、朝から出かける時もごはんを二人で食べるようにしていた。いつも私がソファ、ユウヤはその下でソファにもたれかかりながら。食べながら、決めていた一言をそっと口にした。 「もう、このソファが私みたいなもんだね」 ん?と一瞬不思議そうに見上げたユウヤは、久しぶりに悪戯っ子のような顔でクシャっと笑った。 「そだな」 そう言って、ユウヤは出かけていった。 そうして、私はこの部屋を後にした。 ソファを部屋の真ん中に残したまま。
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