第1章 現在・僕

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 僕はメールの着信履歴を閉じ、発信履歴を開く。町村佑樹の誘いに対して、美穂がどのように答えたかを確認するためだ。  美穂の返信メールはすぐに見つかった。  DATE 2012/5/20  TO  町村佑樹  SUB  RE:今度のデート  本文  来週の水曜日?  昼間なら全然大丈夫だよ  場所は、佑樹に会えるならどこでもいいよ  それとさ、子供のことなんだけど……  私も佑樹の子供欲しいよ  ちゃんと産むから、作ってくれる?  そのメールの内容に、僕は思わずため息を吐く。美穂は、断るどころか、むしろ自分でそれを受け入れてしまっている。そこには、僕のことなど、何一つとして考えた形跡がない。ただ、愛する男を受け入れて、その望むがままにしようとする美穂の気持ちだけが、そこにあるように思える。  妊娠したことも、単なる過ちではなく、すべてあらかじめ計画されていたことなのだ。もう、何が何やらわからない。僕の頭は、混乱していくだけだ。  もう携帯電話の中身など、確認するのは止めてしまおう……。僕はそう思うのだが、手は勝手に、写真のフォルダを開いてしまう。  そこにずらりと並ぶのは、美穂と男の写真ばかりだ。一緒に写っている男が、町村佑樹であるということはすぐにわかる。
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