第1章 現在・僕

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 要するに、その日、美穂は約束通り、町村佑樹に抱かれたということだ。もちろん、町村佑樹に抱かれたのが、そのとき初めてだったというわけではないのだろう。つまり、避妊をせずに、町村佑樹に抱かれたのが、その日、初めてだったということだ。  おそらく、美穂と町村佑樹は、この日から、避妊をすることもなく、身体を重ね合わせてきたのだろう。そして、その結末が今、僕の目の前にあるのだ。  僕にとってはあまりにも突然だったこの状況も、美穂にとってみれば、これまでに積み重ねてきたことの結果でしかなかったのだろう。だからこそ、美穂は、焦った様子もなく、妊娠したことを僕に伝えることができたのだ。簡単に言えば、僕は“ハメられた”ということになるのだろう。  はあ……何でこんなことになってしまったんだ……。  今日もいつもと変わらない一日だった。ビールを飲んで目が覚めれば、またいつもと変わらない一日がやってくるはずだった。 間違っても、こんな大変なことが待ち受けているなんて、僕はほんの数時間前までは、考えてもみなかった。  これから僕は、一体どうなってしまうのだろうか?  そのとき、再び、美穂の携帯電話が鳴り始めた。
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