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「君は、町村佑樹以外とも浮気したことある?」
「どういう意味で?」
「質問を変えよう。君は、僕と町村佑樹以外と、セックスしたことがある?」
僕の問いに、美穂は即答しない。僕は息を飲む。そして、しばしの沈黙の後に、美穂が答える。
「……あるよ」
美穂の言葉に、僕は頭をガンッと鈍器で殴られたような衝撃を覚える。この答えは、当然予想していた。だけど、それでもやはり、心のどこかで、“ない”という答えを期待していた。その期待が裏切られた衝撃。それは、僕が思っていたよりも凄まじかった。
僕は必死で声を絞り出す。
「君は僕と付き合って、初めてセックスした」
「……うん」
「それから結婚するまで、僕たちはずっと付き合っていた」
「……うん」
「君は、僕がいながら、他の男に身体を許したということ?」
「……黙っていて、ごめんなさい」
「結婚してからも?」
「……ううん、結婚してからは一度も……」
「“結婚してからは一度も”ということは、それまでに何度かあったということ」
「……5人」
僕に更なる衝撃が走る。
まさか、美穂が結婚前に、5人もの男に身体を許していたとは……。
それも、僕がいながらだ……。
僕は目の前が暗くなる。目眩のような感覚に襲われる。美穂はその1つ1つの体験を語ってくれた。だけど、それは殆ど僕の耳には届かなかった。美穂を心から愛しているからこそ辛い。それが美穂にはわかるのだろうか?
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