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美穂がぼんやりしていると、浩介が気を使って声をかけてくれる。
「美穂ちゃん、ホントごめん。今日ここに来るなんて知らなかったから」
「大丈夫だよ、鈴木くん。私、秀明の部屋にAV隠してあるのも知ってるし」
美穂の言葉に、秀明の顔が青ざめる。浩介はそんな秀明を見て、ニヤリと笑う。
「お前、完全に美穂ちゃんに見抜かれてるんだな」
浩介が言うと、秀明はただ黙って俯く。これ以上、秀明を困らせたらかわいそうだと思った美穂は、すぐにフォローを入れる。
「だって、私、秀明と一緒にAV見たこともあるし」
だけど、美穂は秀明と一緒にAVを見たことなど一度もない。ただ、友達の前で面目を潰した秀明をかばおうとしただけだ。
秀明もそれを察知して、
「そうだよな、美穂」
と、美穂の言葉に乗る。
美穂は黙って頷く。それで、浩介は納得したらしく、ウンウンと何度か首を縦に振る。
それから、浩介はおもむろにテレビのリモコンを手に取る。
「じゃあ、美穂ちゃんも一緒に見てみる? 人気AV女優の裏モノなんだけど」
浩介が言う。
「えっ!?」
美穂は慌てる。AVに興味があるとはいえ、さすがに心の準備ができていない。
だけど、ここで躊躇っていては、秀明に対すせっかくのフォローも意味がなくなる。美穂は満面の作り笑顔を浮かべて、
「うん、見てみたい見てみたい!!」
と、はしゃいでみせる。その言葉に、浩介は迷うことなくチャンネルを切り替える。テレビの液晶画面に、裸の男性と女性が映し出される。
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