第1章 現在・僕

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 DATE 2012/7/18  TO  町村佑樹  SUB  佑樹へ  本文  今、電話したんだけど、気づかなかった?  ちょっと、相談したいことがあるんだけどな……  今から電話しても大丈夫?  佑樹の声、聞きたいよ……  少々できすぎた感のある内容ではあるのだが、まあ、特に問題はないだろう。僕はそのまま、美穂の許可も得ずに、送信ボタンを押した。僕と美穂は、そのまま黙って、町村佑樹からの返信を待つ。  一体、どんなメールを返してくるのだろうと思いながら待っていると、二分ほどで町村佑樹からのメールが返ってきた。  DATE 2012/7/18  FROM 町村佑樹  SUB  大事な話って……  本文  大事な話って何?  今じゃないとダメかな?  それよりさ、さっき美穂の携帯に電話したら、男の人が出たんだけど、あれって誰?  ねえ、美穂、もしかして浮気してる?  他に好きな人でもできたの?  なんか、最近、美穂が冷たい感じがするんだけど…… 「こいつ、何考えてんの?」  メールを見た僕は、思わず呟く。  そもそも、美穂と町村佑樹の関係自体、浮気であり、不倫なのだ。それにもかかわらず、更に相手の浮気を疑うなんて、もはやバカだとしかいいようがない。  それとも、それだけ美穂のことを本気で愛しているとでもいうのだろうか?  僕は思わず苦笑し、美穂に続けてメールを打つように指示する。美穂としても、僕がいきなり町村佑樹と接触するよりはマシだと思っているようで、僕の指示に逆らうことはせず、メールを作成する。
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