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僕は美穂をリビングに残して寝室へ行く。そして、濃紺のスーツに着替える。わざわざスーツである必要などない。ただ、その方が、気が引き締まる。
リビングに戻ると、美穂はソファに座って僕を待っていた。
「着替えておいでよ。それに、化粧もしないと」
僕が言うと、美穂は小さく頷く。そして、静かにリビングを出て行った。
テーブルの上には美穂の携帯電話が置いてある。どうやら、僕に隠れて町村佑樹と連絡をとるつもりはないらしい。
よかった……。
これで、本当に終わる……。
あとは町村佑樹に制裁を加えるだけだ……。
僕はリモコンでテレビの電源を入れる。たいして面白い番組はやっていない。たけど、時間を潰すだけなら、それで十分だ。
しばらくテレビを見ていると、美穂が着替えて戻ってきた。化粧もしっかりしている。僕が付けた傷痕も、化粧で上手く隠れている。
時刻は午後2時。出発するには少し早い。だけど、このまま待っていても落ち着かない。僕はリモコンでテレビの電源を切る。
「じゃあ、行こうか」
僕が言うと、美穂は頷いた。そして、僕達は家を出て、町村佑樹の家に向かう。
バスを待ったせいで、駅前に着くのに少し時間はかかった。時刻は午後2時23分。僕と美穂は料金を支払ってバスを降りる。
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