第11章 現在・僕

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 僕は美穂をリビングに残して寝室へ行く。そして、濃紺のスーツに着替える。わざわざスーツである必要などない。ただ、その方が、気が引き締まる。  リビングに戻ると、美穂はソファに座って僕を待っていた。 「着替えておいでよ。それに、化粧もしないと」  僕が言うと、美穂は小さく頷く。そして、静かにリビングを出て行った。  テーブルの上には美穂の携帯電話が置いてある。どうやら、僕に隠れて町村佑樹と連絡をとるつもりはないらしい。  よかった……。  これで、本当に終わる……。  あとは町村佑樹に制裁を加えるだけだ……。  僕はリモコンでテレビの電源を入れる。たいして面白い番組はやっていない。たけど、時間を潰すだけなら、それで十分だ。  しばらくテレビを見ていると、美穂が着替えて戻ってきた。化粧もしっかりしている。僕が付けた傷痕も、化粧で上手く隠れている。  時刻は午後2時。出発するには少し早い。だけど、このまま待っていても落ち着かない。僕はリモコンでテレビの電源を切る。 「じゃあ、行こうか」  僕が言うと、美穂は頷いた。そして、僕達は家を出て、町村佑樹の家に向かう。  バスを待ったせいで、駅前に着くのに少し時間はかかった。時刻は午後2時23分。僕と美穂は料金を支払ってバスを降りる。
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