第13章 現在・美穂

2/19
1818人が本棚に入れています
本棚に追加
/680ページ
 時刻は午後5時半過ぎ。早く家に帰らなければ、夫が帰ってきてしまう。美穂は急ぎ足で駅前のバス停へ向かう。  美咲も迎えにいかなくちゃいけない……。  急がなきゃ……。  だけど、そんな美穂を、急に激しい尿意が襲う。  何でこんなときに……。  尿意のせいて、歩調も鈍る。  どうしよう……。  駅のトイレは改札の内側だし……。  デパートまで戻ろうかな……。  でも、そしたら余計に時間かかるし……。  そんなことを考えているうちに、尿意はどんどん強まってゆく。  ヤバい……。  そう思った瞬間、美穂は唐突に思い出す。  そうだ!!  たしか、中央公園にトイレがあったはず!!  中央公園ならば、デパートに戻るよりも早い。美穂は気力を振り絞り、できるだけ早足で中央公園に向かう。そして、西入口から公園に入ると、記憶通りにトイレがあった。美穂はトイレに駆け込み、用を足す。  そして、尿意から解放された美穂は、スッキリとした顔つきでトイレから出る。  間にあってよかった……。  美穂は胸を撫で下ろす。そして、駅へと向かって歩き出す。その時、美穂の目に、異様なモノが飛び込んできた。
/680ページ

最初のコメントを投稿しよう!