第17章 現在・佑樹

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 佑樹が喫茶店に着いたのは、午後6時30分を少し回ったころだった。店に入ると、窓際の席に座っている佐々木の姿が見える。佑樹はその席まで行き、 「お待たせ」  と声をかける。 「早かったね」  佐々木はニコリと微笑み、紅茶を啜る。  佑樹は、お冷やとおしぼりを持ってきたウェイトレスに、ウィンナーコーヒーを注文する。そして、ウェイトレスが去っていくと、早速話を切り出す。 「それで、2人が動き出したって、どういうこと?」 「2人の会社の傍で見張ってたの。そしたら、2人で、桜子さんの家の方に向かって歩いて行ったわ」 「え? どこかの居酒屋に行っただけかもしれないだろ?」 「そうかもね」  佐々木はアッサリと言う。佑樹はその様子に唖然とする。だけど、佐々木は平然とした様子で言葉を続ける。 「でも、もし重要な話をするなら、他人がいない方がいいでしょ? だったら、居酒屋になんて行かないでしょ?」 「それはそうだけど」 「それに、桜子さんは独身なのよね?」 「うん」 「しかも一人暮らし」 「そこまで調べたのか?」 「うん」  佐々木は何でもないかのように頷き、 「だったら、秘密の話をするのは、自宅が一番よね?」  と付け加えた。
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