第17章 現在・佑樹

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「だけど、秘密の話って何だよ? 桜子が妊娠したって確証でもあったのか?」 「うーん、まあ、あったと言えばあったかな?」 「どういうこと?」 「昨日、桜子さんは産婦人科に行ったのよ。知ってた?」  佐々木はフフフッと不敵な笑みを浮かべる。 「知るわけないだろ!?」  佑樹が答えると、佐々木はもう一度笑う。 「私も、患者のフリして、待合室にいたのよ。大きな病院だから、1人や2人、患者以外の人間が紛れてたってわからない」 「そういうもの?」 「特に、産婦人科は、患者以外の来客も多いからね。で、桜子さんが帰り際に受付で貰った書類があるの」  佐々木が意味深長に言う。 「何だよ?」 「あら、町村くんも見たことがあるはずよ?」 「じらさずに言えよ!!」  佑樹は少し声を荒らげる。そこに、ウェイトレスがウィンナーコーヒーを持ってやって来た。佑樹はそれに気づき、気を落ち着ける。  ウェイトレスはウィンナーコーヒーを置くと、静かに去っていった。それを見計らったかのように、佐々木が口を開く。 「堕胎手術の同意書よ」  その言葉に、佑樹はかたまる。佑樹の脳裏に、あの日のことが蘇る。そして、美穂のことが、蘇る。
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