第17章 現在・佑樹

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「っていうか、中に入ったら、素っ裸でヤりまくってたとかだったら面白いのに」  佐々木は勝手な想像をして、楽しそうに笑う。佑樹には、そんな佐々木が理解できない。  とにかく、早くここを出たい……。  佑樹はそう思い、急いでウィンナーコーヒーを飲み干す。 「じゃあ、俺はこれから桜子の家に行ってくるよ」 「うん。応援してるから。もしかしたら、これで、美穂さんのことも取り戻せるかもね」 「えっ!?」  立ち上がりかけていた佑樹は、佐々木の言葉で、再び腰を下ろす。そんな佑樹に、 「驚いた顔して、どうしたの?」  と、佐々木がニンマリと笑みを浮かべる。 「別に、驚いてなんかない。ただ、お前が勘違いしてるみたいだから、びっくりしただけだ」 「勘違い?」 「そうだよ。美穂とはただの遊び。というより、俺のための道具。前にも言っただろ?」 「うん、言ってたね」  佐々木は冷静に反応して、小さく頷く。 「だから、今さら美穂を取り戻そうなんて思ってない!!」 「ふーん……そうなの? でも、ウソがバレバレ」 「は? お前、何言ってんだ!?」  佑樹は苛立つ。そんな佑樹と対照的に、佐々木はゆっくりと紅茶を啜る。 「まあ、いいけどね。とにかく、私は町村くんの力になれればそれでいいから」 「あ、ああ……。まあ、とにかく俺は、美穂の旦那に仕返ししたいだけだから」 「うん、わかった。じゃあ、行ってらっしゃい」  佐々木は笑顔で手を振る。佑樹はそんな佐々木から目を逸らし、千円札を1枚テーブルの上に置いて、店を出た。
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