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「っていうか、中に入ったら、素っ裸でヤりまくってたとかだったら面白いのに」
佐々木は勝手な想像をして、楽しそうに笑う。佑樹には、そんな佐々木が理解できない。
とにかく、早くここを出たい……。
佑樹はそう思い、急いでウィンナーコーヒーを飲み干す。
「じゃあ、俺はこれから桜子の家に行ってくるよ」
「うん。応援してるから。もしかしたら、これで、美穂さんのことも取り戻せるかもね」
「えっ!?」
立ち上がりかけていた佑樹は、佐々木の言葉で、再び腰を下ろす。そんな佑樹に、
「驚いた顔して、どうしたの?」
と、佐々木がニンマリと笑みを浮かべる。
「別に、驚いてなんかない。ただ、お前が勘違いしてるみたいだから、びっくりしただけだ」
「勘違い?」
「そうだよ。美穂とはただの遊び。というより、俺のための道具。前にも言っただろ?」
「うん、言ってたね」
佐々木は冷静に反応して、小さく頷く。
「だから、今さら美穂を取り戻そうなんて思ってない!!」
「ふーん……そうなの? でも、ウソがバレバレ」
「は? お前、何言ってんだ!?」
佑樹は苛立つ。そんな佑樹と対照的に、佐々木はゆっくりと紅茶を啜る。
「まあ、いいけどね。とにかく、私は町村くんの力になれればそれでいいから」
「あ、ああ……。まあ、とにかく俺は、美穂の旦那に仕返ししたいだけだから」
「うん、わかった。じゃあ、行ってらっしゃい」
佐々木は笑顔で手を振る。佑樹はそんな佐々木から目を逸らし、千円札を1枚テーブルの上に置いて、店を出た。
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