第17章 現在・佑樹

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「クソッ!! なんて勘のいい女なんだ!!」  通りを歩きながら、佑樹は呟く。  まさか、佐々木に見抜かれてるとは思わなかった……。  あの女、いったい何を考えてるんだ……。  このまま、あの女の計画に乗ってて大丈夫なのか……?  でも、もし美穂が取り戻せるのなら……。  そんなことを考えながら通りを歩いていると、桜子の住むマンションの前に着いた。時刻は午後7時30分。佑樹はエレベーターに乗り、桜子の部屋の前まで行く。そして、携帯電話を取り出す。佐々木との約束のワン切り。佑樹はそれを実行する。  それから、辺りに人がいないことを確認して、ドアに耳を当てる。できるだけ音を立てないように、慎重に。すると、中から男の声が聞こえてくる。間違いない。美穂の旦那の声だ。  佑樹は会話の内容に耳を傾ける。だけど、ずいぶん普通の調子で話をしている。しかも、受け答え方からして、仕事の話みたいだ。  佐々木じゃないのか……?  佑樹がそのままドアに耳を当てていると、今度は桜子の声が聞こえてくる。桜子が電話の相手を尋ねている。そして、美穂の旦那が、“アルバイトの小林さん”と答えているのが聞こえる。  チッ!!  あの女、何やってんだ!?  佑樹が小さく舌打ちしたところで、中から携帯電話の鳴る音が聞こえてくる。
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