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佑樹は会話の内容にしっかりと耳を傾ける。最初は何気ない会話。だけど、だんだん、美穂の旦那の語気が荒くなっていく。
間違いない!!
佐々木からの電話だ!!
しばらく、会話に耳を傾けていると、突然会話が打ち切られた。どうやら、美穂の旦那が一方的に電話を切ったらしい。
それから、美穂の旦那と桜子の会話が聞こえてくる。そして、佑樹は桜子の発言を聞き逃さなかった。“手術の結果とかは、メールか何かで知らせるから”桜子はハッキリとそう言った。
手術……。
堕胎手術のことだよな……?
佑樹は小さく頷き、ポケットから鍵を取り出す。それを鍵穴に刺して、ロックを解除する。そして、ゆっくりと扉を開けた。
佑樹が部屋の中を覗くと、美穂の旦那と桜子が、扉の方を凝視していた。佑樹はそのまま身体を部屋の中に入れ、扉を閉める。
「ゆ、佑樹!!」
桜子が声を上げる。佑樹は右手を軽くあげて、ニコリと微笑んで見せる。
「佑樹、今さら何なのよ!?」
桜子が慌てる横で、美穂の旦那が、
「町村佑樹!? 何でここに!?」
と、こちらも慌てた様子で言う。佑樹はそんな2人の言葉を無視して、靴を脱ぐ。そして、部屋に入り、2人に近寄る。
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