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そんな2人を上から見下ろしながら、佑樹は笑顔で、
「笹塚さん、まさか2人がこんな関係だとは知りませんでしたよ」
と、厭味タップリに言う。そんな佑樹を、美穂の旦那が睨みつける。
「そんな関係も何も、僕と君原さんは、ただの会社の同僚だ!! 同期入社の仲間だ!!」
美穂の旦那が声を荒らげる。佑樹はフフッと小さく笑う。
「誤魔化さなくてもいいですよ。それ、堕胎手術の同意書でしょ?」
佑樹は笑顔で、テーブルの上の書類を指す。それに反応して、桜子が慌ててテーブルの上の書類をしまう。
その隣で、美穂の旦那が青ざめている。そんな美穂の旦那を、佑樹は追い詰める。
「桜子を妊娠させたんでしょ?」
「ち、違う!!」
「ウソなんかついてもバレバレですよ?」
「ウ、ウソなんかじゃない!!」
「まさか笹塚さんが、美穂さん以外の女を妊娠させてるとは思いませんでしたよ」
「だ、だから、違うんだ!!」
美穂の旦那は必死に抵抗するけれど、顔が完全に青ざめている。さっきから、言葉もしどろもどろだ。その様子がおかしくて、佑樹は思わず笑い声をあげる。
それから佑樹は、桜子の方に視線を向ける。
「笹塚さんはこう言ってるけど、桜子がサインして印鑑押してた書類、堕胎手術の同意書だよね?」
「こ、これは違うの!!」
桜子が慌てて否定する。
「何が違うの?」
「だから……別に、私のお腹の子供が、笹塚くんの子供ってわけじゃ……」
「へえ、やっぱり妊娠してるんだ」
佑樹は笑顔で言う。その瞬間、桜子が青ざめて俯く。
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