第17章 現在・佑樹

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 そんな桜子に、佑樹は問う。 「堕ろすの?」 「当たり前でしょ!? 堕ろすわよ!!」 「何で?」 「結婚もできないのに、産めるわけないでしょ!!」 「ふーん。結婚できないような相手の子供なんだ」  佑樹の言葉に、桜子がさらに青ざめる。 「ねえ、笹塚さん。桜子を妊娠させた相手って、誰なんですか?」  佑樹は美穂の旦那に視線を向けて言う。 「知るわけないだろ? 僕は相談を受けてただけなんだから」 「ああ、そうだったんですか。それは失礼しました」  佑樹は小さく頭を下げ、再び桜子の方を向く。 「笹塚さんに何の相談してたの?」 「どうするべきか相談してたのよ」 「どうして? 結婚できないような相手だから産めないっていうんなら、結果は決まってるんだから、相談したって仕方ないでしょ?」 「いろいろあるのよ」 「例えば?」 「堕胎手術の同意書とか」 「あ、そっか。笹塚さんに、父親のフリしてサインして欲しいってことだったんだね?」 「そ、そうよ。笹塚くんが協力してくれるって言うから、来てもらってたのよ!!」  桜子が言った瞬間、その隣で美穂の旦那が慌て始める。その様子がおかしくて、佑樹は笑う。 「何がおかしいの?」  桜子が言う。そんな桜子の問いに、 「答えは笹塚さんが知ってるんじゃないの?」  と、佑樹はイヤミたっぷりな笑顔を浮かべる。そして佑樹は、 「ねえ、笹塚さん。そうですよね?」  と、美穂の旦那に視線を向ける。
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