第17章 現在・佑樹

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「ねえ、桜子……。俺は桜子に謝りたいことがあるんだ……」 「謝りたいこと? 何よ?」 「桜子と付き合ってたとき、俺はホントに桜子が好きだったし、結婚も考えてた……」 「えっ!? でも……」 「ホントなんだ」 「でも、結婚は考えてないって……」 「うん。桜子に結婚の話をされたときは、もう、美穂と出会った後だったんだ……」 「どういうこと? 何が言いたいの?」  桜子が言う。桜子は佑樹の話の内容が想像できているのか、瞳いっぱいに涙を溜めている。少しでも頭を動かせば、涙がこぼれ落ちそうだ。 「美穂とは、最初は何でもなかったんだ。ただ、美穂がQ大の経済学部卒業だって言ってたから、勉強を教えてって話だったんだ」 「そのころ、佑樹はまだ、私のことが好きだったの?」 「もちろん。さっきも言ったけど、結婚も考えてた。でもね、勉強の話で美穂とメールをやりとりしてるうちに、美穂の方が積極的になってきて……」  佑樹が言った瞬間、美穂の旦那が、 「ちょっと待った!! 美穂の方から君を誘ったっていうのか!?」  と割って入る。だけど、その瞬間、桜子が、 「笹塚くんは黙ってて!!」  と、美穂の旦那を制する。桜子のあまりの剣幕に、美穂の旦那は言葉を失い、黙り込む。  そして桜子は、 「続けて……」  と、佑樹に話を促す。佑樹は黙って頷く。
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