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「町村さん、誤魔化してはいけませんよ。ちゃんと、佐々木香代子さん本人から被害届が出ているんです」
「なんだって!?」
佑樹は驚いて大声を上げるけれど、そんなことは完全に無視するように、刑事は黒い手錠を懐から取り出す。
「両手を出してもらえますか?」
刑事の言葉に、佑樹は思わず、
「ちょっと待ってくださいよ!!」
と抵抗する。
すると、後ろに控えていた二人の刑事が佑樹の両脇に回り込み、それぞれ右腕と左腕をガッチリと掴む。そして、そのまま佑樹の手をむりやり前に出させると、先頭に立っていた男がしっかりと手錠をかけた。
「じゃあ、行きましょう」
刑事がそう言って、佑樹を引いて歩き出す。
「ちょっと話を聞いてください」
佑樹は必死に訴えるけれど、
「話なら警察署で聞きますよ」
と刑事は冷淡に答える。
そして、佑樹はそのまま一階まで連れて行かれると、待機していたパトカーに乗せられる。
何が起こっているのか、佑樹にはまったく訳がわからなかった。ただ、自分が警察に逮捕されたという事実だけが目の前にあった。
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