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「どういう処分になりましたか?」
僕はできるだけ心を落ち着けて、冷静に尋ねた。
「一ヶ月の停職、加えて、資料整理課への異動だよ」
「そうですか」
それは、もはや解雇通知に等しい処分だ。停職なんて食らったら、社内は噂で持ちきりになるだろうし、もう誰も僕の相手なんかしてくれはしなくなるだろう。
おまけに、資料整理課は一度入ったら抜けられない部署と言われている。薄暗くて埃っぽい資料室で、ただひたすら資料の整理をしなければならない。つまり、定年まで飼い殺しというわけだ。
要するに、会社は僕に自主退職を促しているということだ。
「どうするかね?」
課長が言った。
「これから身の振り方を考えさせて頂いて、またご連絡いたします」
「わかった。賢明な判断を待ってるよ」
課長のその言葉には、暗に自主退職しろという意味が込められている。僕にはそれがはっきりとわかる。
僕は電話を切って、天井を見上げた。そうしていなければ、涙がこぼれそうな気がした。
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