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「ラッキー」
千春が大喜びする。
香代子は自分の置いた石を見直す。そして、致命的なミスをおかしてしまっていることに気づいた。
「あ、ちょっと待って!!」
香代子は慌てて言うけど、
「待ったはなしよ」
と、千春は冷たく言い放つ。そして、千春は自分の勝利が決定的になる場所に白い石を置いた。
「負けました」
香代子は悔しそうに頭を下げる。
もう、長嶺先輩の話なんかするから……。
完全に気を撮られちゃったわ……。
そんな香代子たちの様子を見て、長嶺が再び寄ってくる。
「どうした、佐々木。負けたのか? まだ、逆転の目はあっただろうに」
そう言いながら、長嶺は碁盤を眺める。
「ちょっと考え事をしててうかっかり」
香代子は頭を掻きながら言い訳をする。
「うっかりにしても、ずいぶんひどい所に打ったな」
「はあ……」
「佐々木は少し特訓が必要みたいだな。明日は僕と打とう」
「えっ!?」
長峰の申し出に、香代子の心臓は一気に高鳴り始める。
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