番外編第1章 過去・香代子

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「ラッキー」  千春が大喜びする。  香代子は自分の置いた石を見直す。そして、致命的なミスをおかしてしまっていることに気づいた。 「あ、ちょっと待って!!」  香代子は慌てて言うけど、 「待ったはなしよ」  と、千春は冷たく言い放つ。そして、千春は自分の勝利が決定的になる場所に白い石を置いた。 「負けました」  香代子は悔しそうに頭を下げる。  もう、長嶺先輩の話なんかするから……。  完全に気を撮られちゃったわ……。  そんな香代子たちの様子を見て、長嶺が再び寄ってくる。 「どうした、佐々木。負けたのか? まだ、逆転の目はあっただろうに」  そう言いながら、長嶺は碁盤を眺める。 「ちょっと考え事をしててうかっかり」  香代子は頭を掻きながら言い訳をする。 「うっかりにしても、ずいぶんひどい所に打ったな」 「はあ……」 「佐々木は少し特訓が必要みたいだな。明日は僕と打とう」 「えっ!?」  長峰の申し出に、香代子の心臓は一気に高鳴り始める。
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