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結局、いい考えも浮かばないまま、日付は変わる。そして、長くて退屈な授業が終わり、クラブ活動の時間がやってくる。
いつものように部室に行くと、千春は他の同級生とすでに対局を始めていた。香代子は部室の中を見回す。だけど、長嶺の姿はそこにない。
まだ来てないのかな……。
どうしたらいいんだろう……?
このまま待ってたらいいのかな……?
そんなことを考えていると、たまたま対局相手のいなかった男の先輩が寄ってくる。
「佐々木、対局相手がいないなら、俺が相手するけど?」
先輩の誘いに、香代子はどう答えていいのかわからず戸惑う。
「あの……えっと……」
香代子が言葉に詰まったそのとき、部室の扉がゆっくりと開いた。そして、長嶺が姿を現す。
「ごめん、佐々木。待たせた?」
「い、いえ。私もいま来たばかりなんです」
そんなやり取りを見て、寄ってきていた先輩は他の部員の対局を観戦しに行ってしまった。
良かった……。
昨日の言葉、嘘じゃなかったんだ……。
長嶺先輩と対局なんて夢みたい……。
香代子は頭の中で勝手に舞い上がる。
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