第3章 現在・僕

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「ねえ……あんたもさ、他の女とヤッてみたら?」  桜子が、僕の耳元で囁いた。  僕は思わず、 「えっ!?」  と声を上げて、もう一度、桜子の顔を見る。暗闇の中でもはっきりとわかる。桜子は、笑みを浮かべている。  そして、桜子は、続けて言う。 「そしたら、あんたも、奥さんの気持ちがわかるかもしれないよ?」 「冗談言うなよ……」 「冗談じゃないよ」 「僕には嫁さん以外にヤらせてくれる相手なんかいないよ。嫁さんとだって、2年くらいヤってないのに」 「じゃあ、私とシてみる?」  桜子はそう言うと、僕に身体を寄せる。そして、僕に有無を言わさず、唇を重ねてきた。桜子の舌が唇の間から滑り込んできて、僕の舌と絡まる。  桜子は、ずいぶん場数を踏んで慣れているのか、そのキスには躊躇いが無い。桜子は、僕の胸の辺りをさすりながら、僕のパジャマのボタンを外してゆく。酔いのせいか、興奮のせいか、頭がボンヤリとする。  もう、ここまできてしまったら、あとは流れに身を任せるだけだ。僕たちは、互いの服を脱がせ、裸で絡まり合う。ただ、欲望のままに快楽を貪る。  分け入った桜子の中は、とろけるほどに温かい。そして、僕は、桜子の中で果てた。
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