第5章 現在・美穂
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第5章 現在・美穂

 7月19日。  夫とともに、眠れない一夜を過ごした美穂は、夫を会社に送り出してから、もう一度佑樹にメールを送る。  DATE 2012/7/19  TO  町村佑樹  SUB  今日、会える?  本文  昨日は、変なメール送ってごめんなさい  昨日のメールのことは忘れてね  ところで、今日、もし暇なら会えないかな?  なんか、いま、とっても佑樹に会いたくて……  メールを送信した後、美穂はそのまま携帯電話を握り締めて返信を待つ。だけど、昨夜と同じように、佑樹からの返信はない。  どうして……。  美穂の瞳に、涙が浮かぶ。ただ、不安で仕方がない。ほんの少しでもいい、会えれば安心できる。  佑樹が返信をくれない理由はわかっている。全ては昨日の電話が原因だ。夫が、佑樹からかかってきた電話に出るなんていう反則的な手を使ったせいだ。  きっと、佑樹、警戒してるんだ……。  もしかしたら、旦那が私のフリをしてメールしてるんじゃないかって……。  そう思うと、どこからともなく、夫に対する怒りがこみ上げてくる。悪いことをしたのは自分の方なのだということはわかっている。それでもやはり、美穂はこみ上げてくる怒りを抑えることができない。  もう一度だけ佑樹にメールを送ってみようと思ったけれど、思い直して止めた。多分、いま、佑樹にどれだけメールを送っても、結果は同じだ。それよりも、早く病院に行く準備をしなければならない。  美穂は、実家に電話して、美咲を預かってもらう約束を取り付けてから、服を着替える。それから、手早く化粧をして、美咲を連れて家を出た。
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