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携帯電話の通話を切ると、僕は息をついた。
今話していた彼はクラスメイトの一人。明るく気さくなムードメーカー的存在だ。影の薄い僕なんかにもこうして声をかけてくれる。おかげで入院中、沈んでいた僕の心は軽くなる――。
はずだった。
「あら、電話してたの?」
病室の扉を開けて、お母さんが入って来た。
「うん。クラスの子。大丈夫かって」
「そう。良かったわね」
「……お母さん、聞いてもいい?」
自分の息子を心配してくれる友人がいたことに心なしか喜んでいるお母さんへ向かった僕は言った。
「僕が駅の階段から落ちたこと、学校に言ったの?」
僕の質問にお母さんは目を丸くさせて
「いいえ。学校には病気で入院したって伝えたわよ。刑事さんと話してそう決めたじゃない」
「……だよね」
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