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途端に騒めき出す周囲。
ろくでなしから表情が抜け落ちる。
「ムタワヌコフ……まさかお前、パンイチノチジョ様の言う通りなのか」
代表者となった変態の一人が、恐る恐るといった感じでろくでなしに近付いた。
ちなみにこの変態の名前も覚えていない。
跪いたままその場を動かないろくでなし。
頼むから早く立って欲しかった。
片膝を立てたままのその状態は、ずり上がった布切れのせいで、お股の中央の妖しい物体が垂れ下がっているのが丸見え……いや、いや、見ていない。わたしは絶対に見ていませんとも。
ツンと顔を横に背けて恥ずかしさを誤魔化した。あんな罵声を浴びせておいて、ガン見していたと思われたら堪らない。
「おい、何とか言ったらどうなんだ」
「……せぇな」
「ムタワヌコ……っぐ!」
「うるせぇって言ってんだよっ!」
ガッ!と何かを殴りつける音がして、ビックリして逸らしていた目を戻したら、ろくでなしが代表者の変態に向けて拳を突き出していた。
仰向けにひっくり返る変態。
開いたお股の間からは、隠しようがないほど捲れた布切れから素晴らしいイチモツが……見、見たくて見たんじゃないよ。不可抗力です。
というか、ろくでなしよ。
何いきなりキレてんだ。
殴り飛ばした変態を一瞥した後、ゆっくりとこちらに向き直った顔の、なんと悪どいことだろう。
片方の唇の端を不敵に持ち上げて、きつく細まった瞳に見つめられ……息を呑んだ。
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