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僕は穢されてしまった。身も心も。
女王の拘束はその後一週間続き、激しい精神の疲労で死にかけながら自分の屋敷に辿り着いた。
「お帰りガルファン。心配してたんだよ」
( ああ!ユーリ!会いたかった! 僕の女神! )
「お待ち下さい奥様。若様の反省の度合いを確かめさせて頂きます」
出迎えてくれたユーリが僕に駆け寄ろうとしたのを、ヌーが前面に立ちはだかり、求めて止まなかった可愛らしい姿を遮られる。
どけっ!と唸っても、牙を突き立てても頑として退かないヌーは本来の姿のままだ。
勝ち目はない。けど、僕にも引いてはならぬ時がある!……が、やっぱりボコボコの簀巻きになってしまった。くそっくそっくそー!
「さて若様。我が弟の洗礼はいかがでしたか? もしや喰われてしまったんじゃないでしょうね?」
( バカ言うな。勃つわけないだろ )
「ほほぅ。貞操は守り抜きましたか。ではどんな制裁をお受けに? 随分とやつれておりますが」
チクチクと尋問するヌーに恨めしげな視線を送る。思い出させる真似をするなんて酷いぞこの野郎。と言っても聞いちゃあいない。
涼しい顔のヌーに簀巻きの僕は諦めて、記憶から消去したいあのおぞましい一部始終を語る羽目になる。
女王の悪魔のような二択を蹴り飛ばした後に部屋に入り込んで来た女王の使者達は、女王の命により、なんとその場で睦み合いを始めてしまったのだ。
逞しい筋肉同士の肉弾戦を間近にしながら、男が気持ち良いと感じる箇所をよく見ておけとばかりに、女王が紡ぐ解釈と野太い喘ぎ声をずっと聞かされていた。
そりゃやつれるよ。
その前まで僕はユーリと交わるという、この世のものとは思えない悦楽と幸福に包まれていたのに、天国から一気に地獄へ落とされたんだから。
まだ耳にこびりついている。
ユーリの愛らしい凄く興奮する嬌声から、男の低い喜びの咆哮に変えられたものが。
死ぬよ。本当に。
今まで一番堪えたお仕置きだった。
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