660人が本棚に入れています
本棚に追加
「そうでしたか。それはそれは大変恐ろしい目に遭いましたねぇ。ですが、なぜお仕置きを受けねばならなかったのか今一度お考え下さいませ」
( ……僕が悪かった。二度としない )
「どなたにですか?」
( ユーリにも……ヌーにもだ。ごめんなさい )
浮かれ過ぎてしまった。
番との素晴らしい愛の行為に夢中になって、突っ走る本能が止められなかった僕は未熟者だ。
ユーリが気絶したことも発熱しても離さなかったことも、本当に本当に不徳の致すところである。
「……婚儀を終えたからには、貴方が奥様を求めるのを止めはしません。奥様ももはや貴方と交わる行為に抵抗はないでしょう」
( 当分、僕はユーリと交わらないよ )
「殊勝な心がけは宜しいですが、我慢のし過ぎでまた暴走されては困りますからね。奥様の同意があれば構わないと思いますよ」
( ……同意してくれないと思う )
めちゃくちゃに抱いてしまったから。
僕はユーリが許してくれるまで反省せねばならないのだ。
「どうでしょうね。試しにお誘いになられてはいかがです? 竜のやり方でなく違うやり方で」
ヌーが差し出したモノに驚いた。
僕が買いそびれていた唇でろんでろんのお面が目の前にある。
「食物を分けて貰うのを待つのはやめなさい。欲しいならちゃんと示せばいいのです」
慈愛に満ちたヌーの表情に涙が出そうだ。
捕縛を解いて貰い、僕はお面を咥えてユーリの元へ走った。
あの嫌な記憶をユーリで塗り替えて。君が欲しいんだ。と、僕が番の為に用意した部屋を訪れたら、ユーリはソファに腰掛けて僕を笑顔で迎えてくれる。
ユーリ!! あのさ、コレ……
だけど僕が咥えていたものを見つけた瞬間、真顔になってしまった。
敢え無く玉砕した僕に、後ろから「ははは」と盛大な笑い声が突き刺さる。
……またヌーにしてやられたようだ。ぐすん。
最初のコメントを投稿しよう!