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夢まで自分を惨めな気持ちにさせたいらしい。
人生最期に見るかも知れないものなのに、変態と幼女と竜という、支離滅裂で訳の分からない内容が詰まりまくりだ。
おまけに上空で、自分の汚らしい体液に塗れながら凍死するなんて悲惨過ぎないか。
酷いよね。
生きるって辛いことだらけだね。
早く死にたい。
ああでも、もう凍えそうな寒さも感じなくなった。暖かくて眠たくて、とんがっていた心も凪いでいる。
死の間際は苦痛すらもなく、こんなにも穏やかになれるものなんだ……
ようやく天国に行ける、と思った。
安心と永眠が手に入る、とも思っていた。
フンフンフン。フンガフンガフンフンフン。
………うるさいな。
キュルルグルルル。キュゥキュゥキュゥゥン。
………ん? なんだ?
遠退く意識の中で感じる引っかかり。
それでもまぁいいかと放置して、揺らぐような微睡みに落ちて行こうとしたら、激しい衝撃が襲い来る。
ガオオゥーーンギャオオーーンアオオーン!
キュルルグルルガオガオオゥゥーーン!
「うわぁぁっ!!」
……跳ね起きた。
飛び起きてしまった。
空気まで震わす、脳天を直撃するようなとんでもない切羽詰まった咆哮に驚いて。
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