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眩しい。
カーテンすら取り払われた窓は、容赦なく朝日の煌めきを部屋の中にもたらしてくる。
こんなに辛いのに朝はやって来るんだな。
そんな当たり前の事に腹を立て、やさぐれて、刺々しい自分の感情にため息が出た。
まだ涙が出る。
干からびるほど出したのに、崩壊した涙腺は留まることを知らないらしい。
布団に落ちる雫を意味もなく指でなぞったところで、ハタと気付く。
自分以外の女が致したベッドの上で転がるなんて気持ち悪い。
なのに、昨夜はそれすらも考えることを放棄していたようだ。
瞬時にゾワリと鳥肌を立てる身体。
起き上がったら床に丸まるシーツの残骸が目についた。昨夜、直接的なモノを排除する理性があったことにホッとする。
喉がカラカラだ。
昨夜から何も口にしていないし服も着替えていない。
というか、何もないから食事も着替えも買いに行かなきゃあるわけないんだけど。
気持ちはぐちゃぐちゃだ。
内面は大嵐で荒れ狂っている。
けれど、30年という生きて来た自分の年齢が、身に付いた大人の常識や倫理観が、それだけに囚われることをヤメろと叫ぶ。
そう、わたしは大人だった。
悲しいほどに。
自分を取り繕うことに長け、偽ることに長け、騙すことに慣れ切っている。
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