3択のどれもが地獄でしかない

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オーマイガー 先程のキラキラした優しげな表情はどこに行ったのか。さすが、ろくでなし。猫かぶりのスキルが半端ない。 迫り来る腕。 射殺す眼差しに身がすくむ。 これ……もしかしなくても、捕まったらわたしも殴られるコースじゃない?! パンイチノチジョ様! 乙女を守れ! と、右往左往しながら叫ぶ変態どもよ。 口だけじゃなくていいから早く助けに来て! 自分の夢なのにおかしい。 現実でも、ろくでなしに暴力を振るわれたことはなかったのに…… 「行け! ガルファン。罪人を捕縛せよ!」 バターン! と、遥か前方から甲高い怒声と共に響いた音。 扉を乱暴に開いたようなソレは、認識した瞬間に激しい突風が室内に荒れ狂う。 目を開けていられない! ギュッと閉じて、ほんの一瞬だったと思う。 超間近、すぐ側で、と言っていい距離に、巨大な得体の知れない何かがいる。 これは、言葉では表せない。 本能が察知した、ってやつだと思う。 え……何コレ。何が起きてんの? ベッタリと額に貼り付く脂ぎった前髪が、巻き起こる風によって跳ね上がる。 聞き慣れない羽ばたきのような音がブワサブワサと鳴り響き、数回繰り返した後で風も音も止んだ。 目を瞑っている瞼を通して、室内の明かりを取り去る陰が差し込んでいる。 急に真っ暗になったよね。 いきなり夜になったとかじゃないよね。 ……超不安。心臓がはち切れそう。 ぐえっ!とか、ぎえっ!とか、喉奥で潰れた悲鳴も聞こえましたけども……? ああ、どうしよう。 目を開けるのがすんごく怖い!!
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