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おずおずと、腰に絡みつく尻尾。
上げられた首がわたしの足から順に、お腹、手先、腕、肩口、頬へと擦り寄せられる。
その間、ずっとされるがままでいた。
次第に鼻を鳴らし、匂いを嗅がれ、顔を覗き込まれた時にはもう、ガルファンの瞳はしっかりと見開かれ、真剣な色味を帯びていて。
それにほんのり笑みを返せば、緩く巻かれていた尻尾の圧が強まり、強引ではなく誘導するような確かめ方でベッドを目指す。
ガルファンの弾力に富んだ肌質も、体温も、何度も触れ合い一緒に寝ていたから違和感はない。
むしろ、安心。あって当たり前。ないと寂しくなっている。一人きりで眠る夜を忘れるぐらい、どうやっていたかも分からなくなるぐらい、ガルファンが側にいることに慣れ親しんでいた。
寝転んだわたしに覆い被さると、長く伸びるザラついた舌先が唇を数回舐めていく。
そして割り開き、歯列や歯茎をこちょこちょと行ったり来たりを繰り返されて、むず痒くて出来た隙間にソッと差し込んできた。
風呂場の時のような大口を開けなければならない侵入の仕方じゃない。無理をさせないような、気遣いのある、人とするような感覚のキスは、舌を這わし合うだけで身体の芯から熱を持つ。
乱れた息遣い。鼻にかかる甘ったるい吐息。無意識のうちに徐々に開いた中を、隅々まで丁寧に舌で撫で上げるガルファンは、竜のくせに人の性感帯を探り当てるのが凄く上手かった。
キスがこんなにも感じるものだと、今初めて知らされる。溺れてしまいそうなほど苦しいのに、たまらなく気持ち良くて。ずっとしていたい気になってくる。
「っ、ガ、ガルファ……ンんんっ!」
囁くような甘い言葉もないのに。
まるで舌と舌で想いを、愛を語り合っているかのような錯覚に陥る。
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