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たぶん、キスだけで意識が飛んでいたのだろう。
服の中に潜り込み、熱い舌と硬質な牙が胸の頂きを刺激する感覚で、途切れた現実を突き付けられた。
儀式の時とは全く違う舌の動き、過ぎる快感に身悶えて、口から漏れ出る嬌声を止めることが出来ない。
「ああっ、ガ、ガルファンっ! 待っ……」
咄嗟に服の中で蠢くのを手で制す。ピタリと止まった数秒後には、弱々しい手を押し退けるようにしながら服の中を這い進み、襟口から覗かせた顔が下からわたしの顔を捉えていた。
顔が真っ赤になるのを自覚する。
ついさっきまでガルファンに翻弄されっぱなしで喘ぐことしか出来てない。そう思うと、急に彼がもの凄いエッチの達人のようで。
どこかでまだ感じていた愛玩動物的なものが、ガルファンと結び付かなくなっていた。
眇められた黄金色の瞳に灯る情欲。止めたことを焦らされていると解釈したのか、先を促すように舌がチロチロと首や顎に這わされる。
犬や猫はこんな表情はしない。ましてや、人を性的に興奮させようと努力したり誘ったりすることも。
どうしよう……ガルファンが男に見える。
自分より年上の完全な大人の色香を纏う男に。
「恥ずかしい……そんな見ないで」
顔を手で隠せばその手を舐められる。
指先を、指と指の間を、擽ぐるようにして。
それが気持ち良くてまた甘い声を上げてしまえば、鼻先で手を優しく払われて、唇に戻された舌が大胆な動きで口内を、痺れの伴う熱を込めて蹂躙していく。
ヤバイ……気持ち良すぎて何も考えられなくなる。
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