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痴女改め、高宮 ゆうり 人間です
わたしは今、大変なことになっている。
巨大竜こと、ガルファンの前脚にしっかりと捕まえられて、大空を豪速球で駆け抜けていた。
信じられない。
装備も何もないパンイチ姿で空を飛ぶなんて。顔面に容赦なくぶち当たる風は、もはや凶器の域だった。
止めようもなく流れ出る、涙、鼻水、涎。
上空の冷たさに、ガクガクブルブル震える身体に命の危機を感じている。
……失敗したかもしれない。
だけどあの時は、この選択をするしか逃げる道がなかったじゃないか。
迫られた地獄の3択は即座に却下した。
けれど、この儀式は乙女の「夫」を選ぶ聖なるものだと切に訴えられたのだ。
……知らんがな。
選べないならやはり3択しかないと、卑猥なイチモツを晒して真剣に議論し始めた変態どもに慌てふためき、
「わたし、人間では満足できませんの。
ですから、ガルファンを選びます」
と、この場でいま一番大きなイチモツを持つだろう竜を指名した。
イケメンなんて夢でも嫌だ。もう懲り懲り。
しかも変態。あり得ん!!
ただ、オス……だよね?
メ、メスだったらどうしよう。
という杞憂はすぐ消えた。
突然ガルファンが耳をつんざくような咆哮を上げ、ガシッと鋭い爪の前脚でわたしを掴むと、部屋の窓を太い尻尾でぶち破り、そのまま空へ飛び出したのだ。
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