バカも休み休み言え

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バカも休み休み言え

何日ぶり、何週間ぶりのお風呂は、それはそれはもう至福のひと時でした。 現実と変わらない仕様、いや、どこかの高級な温泉に来たような広々とした空間に、1人でゆったり入れるなんて夢のような話だ。 ……夢ですけどね。 脂の塊を付けてるような髪は泡立ちも悪く、しっかりとこそげ落とすのに苦労したが、身体にあった不快感がなくなると心まで軽くなったよう気がした。 「お気に召したようでなによりです」 長風呂を終え出て来たら、待ってましたとばかりに肌触りの良さそうな大判のタオルを差し出される。……ちょっと待て! 「な、何してるんですか?」 「何って……お清めを手伝えなかったので、せめてお着替えだけでも、と思いまして」 ニコニコと素敵な笑顔の執事さんだが、当然タオルだけをもぎ取ってすぐに追い出した。 パンイチならまだしも今度は全裸、しかもずぶ濡れ状態をバッチリ見られたじゃないか。 ……やっぱり奴も変態だったか。 用意された服は光沢のあるワインレッドのワンピースだった。妙に薄っぺらいような……着てみるとやっぱり透けている。 嫌がらせか。それとも安定の変態が炸裂か。 「執事さん。服、ありがとうございます。ですが、もう少し厚手のものはないでしょうか」 「ヌノテフホフですってば。ああ、やはりお似合いの色でしたね。とても美しいですよ」 扉を開けて開口一番に抗議した言葉は見事にスルーされた。なかなかの強者だ。 しかしそれよりも…… 「ヌノテフホフさん、これは一体どうしたのですか」 部屋がボロボロに破壊されている。 強盗にでもあったかのように、窓は割られカーテンは引き千切られ、テーブルもイスもただの木材と化し、飾られていた花瓶も床に破片を散らしていた。
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