649人が本棚に入れています
本棚に追加
/264ページ
まさかの、ヤル気マンマン
結論から言おう。
今回の選択肢に逃げ場はありませんでした。
どちらも選べるか! ふざけんな変態! と、本来なら罵ってしかるべきところだが、もはや別次元の内容を語られては、相手にするだけ無駄というものだ。
数々の変態を目にしたわたしは、達観の境地である。
正常な人間とド変態が話をしても成り立つわけがない。マトモに聞くとこちらまで脳がヤラれてしまう。
だから、帰らせて頂きます。
無言でくるりと背を向けて、退室しようと足を踏み出し、つんのめる。
ぬおっ! あわや床に激突か!
ここで転けたらかっこ悪いとか、何もないとこで蹴躓くのは歳のせいだとか、瞬時に駆け巡ったどうでもいいこと。
……おや?
の後で、身構えたわりに来ない衝撃にハテナが飛んだ。
「ははは。ガルファンは覚悟を決めたようだぞ」
……え? ……え? ………えええっ?!
人の認知能力は素晴らしい。何を優先にすべきか咄嗟に判断出来るから。この場合、つまり転けることに意識が持っていかれたわたしは、頭の片隅に横たわる違和感の正体に気付くのが遅れたらしい。
腰に巻き付く黄金色が目に入る。
何だコレ……あ、尻尾だ。え、尻尾?
えええっ?! の部分でやっと状況を理解する。出て行くわたしを止めていたのはガルファンだった。
ちょ、ちょっと待って!
あんたもあの鬼畜内容を聞いたでしょ。って言ってもガルファンは竜だから通じてないだろう。……だが、何となくだけど、ガルファンは分かっているように思えた。
だって、瞳がね。凄くね……力強く輝いているんですよ!
意志を宿したその目に浮かぶのは、情欲と確固たる決意。
……たぶん、間違いない。
超超超ガン見されてるし、腰にある尻尾が妙に艶めかしく撫で回すように動いている。
やめろーー!
まさかの味方 ( だよね? ) の裏切り。
万事休す!!
最初のコメントを投稿しよう!